特許権が設定されている商品と見た目や構造が似ている商品を販売すれば、すぐに特許権の侵害になるのでしょうか?
特許権の権利範囲は、特許出願の願書に添付された「特許請求の範囲」に記載されたものになります。
「記載」とあるように、権利範囲は言葉で表されています。
例えば、特許請求の範囲に、
「棒状の芯部材と、芯部材を覆った六角形断面の把持部材と、を備えた鉛筆」
と記載された特許があるとします。
(これはあくまでも例なので、実際に特許権があるわけではありません。)
この特許権の内容を商品にしたものに対して四角形の断面の鉛筆を製造販売することは、特許製品と見た目や構造が似ているものになります。
はたして、特許権の侵害になるのでしょうか。
でも、この場合は、特許権の侵害にはなりません。
特許権が及ぶのは、あくまでも断面が六角形のものです。
四角形のものには及びません。
なぜなら、権利範囲に、「六角形」と明記されているからです。
四角形は六角形ではないので、つまり権利範囲に含まれないことになります。
権利範囲に含まれるかどうかは、「特許請求の範囲」の記載を十分に吟味する必要があります。