企業活動を進めるにあたっては、通常は競合他社が存在します。
少しでも多くの自社製品・サービスをお客様に購入・利用していただくためには、自社製品が競合他社のものよりも何かしらのメリットがあるものである必要があります。
そのため、競合他社がどのような製品・サービスを提供しているのか、を調べることは重要なマーケティング活動の一つに位置付けられています。
競合・マーケットの現状情報の収集だけで製品・サービスを展開してはいけない
では、競合他社の情報を収集するにあたって、競合他社が展開している製品・サービスの情報を収集するだけでいいのでしょうか?
情報収集活動は相手のことを知るためにはもちろん必要なことですが、すでにマーケットに出回っているものだけを調査しても十分ではありません。
どのような製品・サービスを取り扱うか、にもよりますが、通常は、着想から製品化までには多少の時間がかかります。
そのように自社で準備を進めている間に同じような製品・サービスを競合他社が提供してしまったら、せっかくの苦労や費用が水の泡になりかねません。
先回りするためには、現状調査だけではなく、競合他社の動向を知る必要があります。
特許情報で競合他社の開発状況を調査する
そのための調査の一つに特許調査があります。
特許出願をするとその中身は出願から1年半後に公開されます。
1年半というタイムラグはありますが、競合他社がどのような特許出願をしているのか、つまり、どのような研究開発を行っているのか、ということを調べることができるのです。
通常、企業の研究開発動向というのは秘密事項なので、外部からなかなか知ることはできません。
でも、特許調査をすることによって、競合他社がどのような分野にどのような特許出願をしているのか、がわかります。
しかも、特許権を取得しようと思って特許出願する場合が通常なので、競合他社も力を入れている発明であることが多いです。
そのようなものを集めてみることで、研究開発動向マップができ、現在製品化されていなくても競合他社が今後製品化する可能性のあるものを把握することができます。
そこから自社のポジションを決めていくことができます。
例えば、空調関連の製品を製造販売しているオリオン機械株式会社という会社があります。この会社は、経営方針として、感動を呼ぶ製品の開発を目指しており、開発にあたっては、競合他社の特許を必ず調べるようにしているそうです。どんな特許があるのか、どの程度であれば新しい技術になるのか、というレベル感を特許調査で把握しています。
すでにマーケットが存在する中での動向調査とは?
マーケットがすでに存在している場合には、ニーズも顕在化されやすくなります。
また、競合他社も存在しているので、競合調査も対象が明確になります。
特許調査の際には、競合他社の特許出願の動向だけでなく、参入障壁としてすでにマーケットに存在する競合他社の特許権も調査することになります。
競合他社から特許侵害と言われないようにするには、障害となる特許権があるのかどうかを見極めることも行います。
新規開拓の場合の動向調査とは?
一方、新しいマーケットを作る場合には、ニーズも潜在化されていることが多いです。
実はこのような場合こそ、特許調査が力を発揮します。
特許調査によって、上述したことだけでなく、例えば、他社がまだ開発もしていないようなニッチな分野を探すこともできます。
ただ、なぜそこにまだ誰も足を踏み入れていないのか、という理由も考えなければなりません。
技術的に不可能だからなのか、開発しても顧客に満足してもらえそうにないからなのか、といったことを調査結果から読み取る力が必要です。
参考:特許庁編「知的財産権活用企業事例集2014 〜知恵と知財でがんばる中小企業〜」